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失敗を想定していない甘さと、失敗するはずがない過信と

新聞に目を通す理由の一つに、「一般の方の人生相談に、著名人の方々がお悩み回答する」、そんなコーナーがあり、仕事柄、現実に根差したアドバイスを差し上げるためにも、多様な考え方を知る学びも兼ねて、必ず読むのが習慣になっています。

ある日の相談に「受験に失敗し、いつまでも立ち直れない…どうしたらよいでしょうか?」そんな相談が寄せられていました。

失敗を引きずるのは、失敗を想定していない甘さと、過信から

私も受験、失敗した過去がありますので、ご相談者さまの辛い気持ち、痛いほどわかります。「自分が失敗するなんて…」心の隅にわずかでもそんな気持ちがあったのでしょう。あまりのショックで立ち直れなくなり、将来に対し、絶望感で一杯だったのを今でも記憶しています。当時は失敗した事実にばかり焦点をあて、何年もの間、自分を責めたり、悔やんだりしたものです。

自分なら経験者としての主観的な気持ちと客観的な側面からと、両方の視点から、どのようなアドバイスが適切かを考えつつ、著名人によるお悩み回答を読むと、「若いあなたには厳しい意見かもしれませんが、人生は思い通りになることの方が少ない。むしろ上手くいかないことの連続。あなたは失敗を経験し、そのことをずっと引きずっているけれど、失敗を想定していなかった甘さと、失敗するはずがないという、過信はありませんでしたか」といった内容でした。

私を含め、相談者さんも「人生は困難ばかりで、思い通りにならないのが当然」と、頭の中ではわかっていても、若い時ほど根拠のない自信から、失敗するはずがないという過信、そして、上手くいく前提ですべてを考えていますから、広い視野を持ち、もしダメだった場合を想定しておくなど、考えにも及ばなかったに違いありません。

人生経験の浅い相談者さんにとって、著名人の方の意見は、とても厳しいものですが、これから長い人生を歩む上で、幾度となく訪れるであろう困難を思えば、的を射たものであり、貴重な知恵として今後、必ず多くの場面で役立つと、今ならはっきりとそう思います。

あらゆる可能性を想定し、自分を守る

近年よく耳にする言葉の一つに「想定外でした」と、いったものがあります。それだけ人は、過信しやすく「失敗する」「間違える」「思い通りに行かない」といった、負の可能性を小さく見積もるものです。

他にも「ポジティブ思考」も良く聞きますね。確かに大切な考え方の一つではありますが、何でもかんでもポジティブに考え、もう一つのネガティブな側面を軽く扱ったり、無視するのは、ちょっと違うなと思うのです。私たちの生きる三次元の世界は「白と黒」「善と悪」といったように二元性の世界でもあります。それは、どちらか一方に傾くのではなく、両方の側面を併せ持つことです。

現在の社会情勢や私自身の経験から実感してきたことを踏まえても、これから生きていく上で必要なスキルの一部として、身に着けたほうが良いと思うのが、上手くいくことや上手くいかないことすべてを含め「あらゆる可能性を想定できる広い視野」と「あらゆる可能性を受容できる柔軟性」だと感じています。

今は、以前にも増して世の中のスピードが加速していますし、教科書上での出来事としか認識のなかった有事が普通に現実に起こりうる…当たり前になっています。そんな多くの困難が立ちはだかったとき、あらゆる可能性を想定し、柔軟に受け入れるスキルが持てたなら、自分を守ることにも繋がるし、乗り越えられる…そう思います。

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